初恋をもう一度。
「恭くんは…評判良くないし、とにかくもう会ったり連絡は取らないでって。…でも…」
膝に置かれた手の甲に唯の涙が、ぽつぽつと音を立てて落ちた。
「でも…花屋さんに行った時も、一緒にご飯食べてた時も、そんな風には思えなかったの。評判悪いなんて、…そんなことないって思ったの」
鼻をすする唯の隣に恭平は移動した。観覧車は真上に、半分を過ぎようとしている。
「だけど…お母さんがそう言うのは何か理由があるんじゃないかって思って…何日も考えた」
何日も―
それは恭平がメールの返事がない事を気に掛けていた期間に合致する。
「それで…思い出したの…」
「……」
「この事で両親がもめて、私の事にあんまり関心を示さないお父さんに、お母さんが…他に女がいるんじゃないのかって喧嘩が始まって…」
「あの時の俺らの話と似てたのか…」
「うん…それで一気に全部、思い出したの」
「…何で今まで黙ってたんだ??記憶…戻ってるって」