初恋をもう一度。
陽はもうすぐでなくなってしまう。
「許して…ほしい…」
「…許せない…って…思った」
唯は窓の方を向いている。
「思い出して、初めは許せないって思った。でも…」
声が、体が、震えだす。
「恭くんは…ほんとは好きじゃない遊園地に一緒にきてくれた…。誕生日も覚えててくれたし、他にもいっぱい…優しくて…っ」
暗くなって窓に写った唯の顔は涙でぼろぼろになっていた。
「…黙ってればよかったのに、酷いこと言ったと思うなら…っ」
唯がしゃくりあげて泣いている。
「嫌いには…なれない…し……初めから…嫌いなんかじゃない…っ。酷いこと言われてすごく…ショックで傷ついたけど…、恭くんが本心で言ってない事くらい…判ってたよ」
恭平は唯の華奢な体を包み込むようにして抱き寄せた。