野良猫の憂鬱
正面からよく見ると彼の瞳は左右で色が違った。
右目は鮮やかなエメラルドグリーン。
左は青みがかった碧(ミドリ)色。
微かな差ではあるけれど、たしかに色が違う。
オッドアイの外人さんはあたしを見て目をパチクリさせて首を傾げた。
「あれ、おかしいな……。どうして君がこんなとこに………」
「は?」
こんな綺麗なヒトいくらなんだって一度会えば忘れない。
あたしはこのヒトに見覚えはないわけだから、完全に人違いだ。
「……人違いだと思いますけど」
遠慮がちにそう言うと彼はへ?と首を傾げた。
「君、オレが見えるの?」
その外見とは似つかわしくない流暢な日本語で意味の分からないことを言う彼に今度はあたしが眉を寄せる番だった。
あんな派手な登場しといて、このヒトは何言ってるんだろう。