紫陽花なアイツ

挑発的な言葉を出す葉介よりも先に、あたしが答えなきゃ。

葉介の事を“紫陽花くん”なんて呼ぶ女に言うのは癪に障るけど。

でも、わかって。

葉介は“紫陽花”じゃない。

「葉介とあたしは、幼なじみだから。」

きっぱりと言ってやった。

女は、少し顔を歪めて何かを言おうと口を開いた。

「行くぞ、夜志乃。」

その言葉を聞く前に、腕を引っ張られて無理矢理前に進んだ。

そして、不覚にも夜志乃と呼ばれて心臓が高鳴った。





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