紫陽花なアイツ
ふと、葉介はどうするんだろうかと考えた。
大学に行くのかな。
陸上は、もうやらないのかな。
「夜志乃は進学でしょ?」
真生は言う。
あたしは躊躇うことなく頷いた。
正直、仕事をしたいって思わない。
両親が家に帰ってこない姿。
そのことを思うと、気分が乗らなかった。
「藤崎くんは?」
「…わかんない。」
「そか…。」
いつもの会話に、テンポがなくなる。
早く春になって欲しいと思った。