紫陽花なアイツ

本当に寒い…。

体育館裏の水場で水を飲んでいた。

こんなに寒いのに、マラソンをやる学校はおかしいと思う。

お湯が出てきて欲しい。

はぁ、と溜め息をつく。

「あんたまた年上の彼氏作ったの?」

呆れた声が聞こえた。

あたしが顔を上げる前に。

「“紫陽花”と付き合ってんじゃないの?」

ビクンと体が震えた。

寒いからじゃない。

「遊びだし。向こうもそのつもりじゃん?」

隣から聞こえる声に、嫌気が差す。

…この女。

あたしは葉介がするみたいに、小さく溜め息をしたくなった。





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