紫陽花なアイツ

何かよくわからない。

紅の火花がパッと散った気がした。

「―――最低。」

気づいたら後の祭り。

私の呟くような声に、くるりと女子はこっちを向いた。

「誰?」

この前、紹介してあげたのに。

「…葉介はね、“紫陽花くん”じゃないの。
あなた、葉介の彼女なのに名前も知らないの?」

パチパチと火花はあたしを煽る。

女子は怪訝な顔をしていた。





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