紫陽花なアイツ
今頃そんな気持ちに気づく自分が、馬鹿だと思った。
世の中は、綺麗事ばかりではないらしい。
「夜志乃。」
聞き慣れた、真生の声がドアを開ける音と共に聞こえた。
あたしは壁を向いたまま、真生?と聞いた。
「うん。喧嘩…したって聞いたけど、大丈夫?」
心配そうに言う。
2対1だから、負けちゃったんだけどね。
逃げられちゃったんだけどね。
「葉介の事を悪く言ったから、文句言ってやったの。」
全てを話した。
真生は寝転ぶあたしの肩に手を置いた。
「…夜志乃、こっち向いて。」
優しく笑ってる気がする。