紫陽花なアイツ

桜の花びらを見つめる。

『…何かあったか?』

心が痛んだ。

葉介の優しい言葉に。

優しい声に。

また涙が出て、止まらなくなっていた。

「…会いたい。」

あたしは言った。

我が儘を言って、呆れさせてやりたかった。

いつもみたいに、は?って言わせたかった。

『鞄持って駅。』

それだけ言われ、通話が切れる。

…は?

こっちが言わされた気分だった。





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