紫陽花なアイツ
プール施設の前で待ち合わせだったから、人が多い。
「あ。来た。」
巧は向こうを見る。
人が多すぎて見えない…けれど。
あたしには、はっきりと見えた。
茶髪で、ピアスの穴を開けて。
だるそうな顔もかっこいいと評判の。
“紫陽花”
「もしかして、噂の紫陽花って人?」
唯は興味しんしんに聞く。
葉介はあたしを少し見て驚いた顔をしたけど、すぐに目をそらして唯を見た。
「そ、噂の。」
あたしには向けられなくなった笑顔。
「お前、人の彼女とるなよな。」
冬也はバシっと肩を叩いた。