紫陽花なアイツ

あたしは、先生にお腹が痛いって言って早退を申し出た。

鞄を持って、校門を出る。

いつもだけど、葉介が何を考えているのか分からなかった。

会ってくれるらしい。

本当は、姿なんて見たくないんだけど。

でも、会いたかった。

何かにとりつかれたように足が動く。

駅に着いた時には、もう息を切らせていた。

咳き込みながら周りを見回す。

駅の入り口に、茶髪とピアスをした見慣れた姿が会った。

こっちを見て、口端を吊り上げて笑っている。

あたしは近付いた。

「何で笑ってんの。」





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