紫陽花なアイツ

とん、と音がする。

アパートのポストに葉介はあたしを挟み込むように、手をつけた。

急に葉介の顔が近くなる。

唇に一瞬だけ葉介の唇が当たった。

驚いて、目を見開く。

「な…?」

「あ?」

不機嫌そうにでも、なんかはにかんでいるように見えるあたしの目は。

どうかしてるんだろうか?

何故今、キスを拒まなかったのかわかる。

あたしは葉介が






「好き。」

だからだ。




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