紫陽花なアイツ

葉介はまた手を額に当てた。

「俺がお前に話すなっつった。
…お前、心配しそうだったから。」

…いつだっか。

葉介が骨折をしてしまった時。

あたしはすごく泣いた。

骨折をした事に、ではなかった。

走る事ができない葉介がどんな表情をしてるのか近くで見たから。

あたしは、嗚咽を漏らした。

「…ごめん、あたし…っ。」

何度葉介を傷つけていたんだろう?

葉介は、あたしの言葉を何回聞いて傷ついたんだろう?

歪んだ視界の中、あたしは葉介の腕の中に引き込まれた。






< 147 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop