紫陽花なアイツ
葉介はまた手を額に当てた。
「俺がお前に話すなっつった。
…お前、心配しそうだったから。」
…いつだっか。
葉介が骨折をしてしまった時。
あたしはすごく泣いた。
骨折をした事に、ではなかった。
走る事ができない葉介がどんな表情をしてるのか近くで見たから。
あたしは、嗚咽を漏らした。
「…ごめん、あたし…っ。」
何度葉介を傷つけていたんだろう?
葉介は、あたしの言葉を何回聞いて傷ついたんだろう?
歪んだ視界の中、あたしは葉介の腕の中に引き込まれた。