紫陽花なアイツ
「…A。」
「同じだね。」
葉介は頷いて、一緒に靴箱に入る。
…よし、もしも教科書を忘れたら葉介から奪ってあげよう。
1人納得して、教室に入った。
「あれ?星(セイ)小の藤崎?」
出席番号順の席だったから、あたしの斜め前に座る葉介に声がかかる。
「まぁ、一応。」
「やっぱり!市内陸上大会でぶっちぎりで一位走ってた奴だよな!」
「…まぁ。」
「俺、真渕巧(マブチタク)。よろしくな。」
「あぁ…夜志乃。」
急にくるりとあたしの方を振り向いてきた。
びっくりして、目を見開いた。