紫陽花なアイツ
傘ニ雫
なんで…。
なんで、あたし葉介と離れたいのに近付いてるの?
なんで、相合い傘なんてしてるの?
自問自答。
時折、葉介の腕とぶつかる肩が熱い。
なんであたしだけこんなに意識してんの?
さっきからずっと沈黙が続いてる。
それには昔から慣れていた。
葉介は無口だったから。
そんなことより、この姿を学校の誰かに見られたら…。
「アイス。」
葉介が急に止まる。
「え。」
「俺、アイス買ってくるから。お前先に帰ってろよ。」
傘を押し付けられて、葉介はコンビニに入って言った。
…アイス?
黒い大きな傘をあたしは持ってその場に止まった。