紫陽花なアイツ
あたしは家に向かった。
保健室の先生が出張だったから、担任にすぐに帰宅しろって言われたからだった。
螺旋階段を上る。
熱を計ったところ、38度。
まだ大丈夫です、って言ったのに。
鍵を取り出して、鍵穴に差し込もうとした。
「…?」
あ、あれ?
入らない。
鍵が入らない!
信じられない状況に困惑して、鍵の向きを変えながら差し込もうとする。
「…何やってんだよ。」
隣から声がした。
隣を見ると、葉介が立っていた。
やっと話してくれた、よりも今の状況を飲み込めないあたしは鍵が最優先だ。
「鍵が…。入らないの。」