紫陽花なアイツ
「なんでいきなりダッシュすんだよ。」
あたしの言い方にカチンと来たのか言い返す葉介。
「こ…怖かったから…。」
恥ずかしながらも素直に答えた。
「だったら夜道独りで歩くなよ。」
葉介は呆れた顔で言う。
「帰る。」
「ちょっと、待ってよ!」
だから、なんでこんな所に立ってんの?
あたしの言葉を聞かないようにか、葉介は足を早めた。
二人で藤崎家の前まで来る。
「あら、良かった。夜志乃ちゃん、見つかったのね。」
ドアを開けて、葉介のお母さんが出てくる。
「へ?」
あたしは素っ頓狂な声をあげる。