紫陽花なアイツ
あたし達は無事にその校門を通り抜け、わかれた。
やっぱり、彼女かな。
なんて少しだけ残念がる自分がいた。
そんな自分を消して、帰路を辿る。
「おい。」
後ろから声が聞こえた。
あたしかな?と後ろを振り向くと、葉介がいた。
何か用なのか、と後退りしながら警戒した。
「何?」
あたしの行動を逆に怪訝な目で見る葉介。
「用あんだけど。」
それはわかるよ。
てゆーか、用がないなら呼ばないで欲しいよ。
「その用は?」
「兄貴が、帰ってきた。」
あたしはポカンと口を開けた。
何か、良い夢だと思ったから。