紫陽花なアイツ

「行きたいとこ、あんのか?」

自分から連れ出しといてそれはないと思う。

葉介はバイクのヘルメットをあたしに押し付けてそう尋ねる。

「なんで、あたしが葉介とどっか行かないと行けないの?」

「嫌なのか?」

あたしは言葉に詰まる。

嫌な訳ではない。

むしろ、いつも無愛想な葉介が誘ってくれるのは少し嬉しいくらいなのだけど。

「そういう訳じゃ…。」

「なら良いだろ。」

思ったのは違うこと。

あたしが葉介に持った感情ではなくて…。

葉介の多分、複数いる彼女のこと。

一緒にいる所を見られて修羅場になったり、色んな噂になるのは…正直避けたい。





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