紫陽花なアイツ
気持ち悪い…。
ベンチで放心しているあたし。
少し間を空けて隣に座る葉介。
その距離に、少しだけ悲しくなる。
葉介を見た。
何かに、鋭く目を光らせているようだった。
もしかして、この男…。
「ナンパする相手、探してんの?」
あたしが聞くと、
「なんでそうなるんだよ。」
と不機嫌な答えが返ってきた。
そう言うと、また辺りを見る。
ナンパではないらしい。
関係ないや、とあたしは空を見上げる。
もう紅みがかかっていた。