紫陽花なアイツ
こんな空を見ると、不意に頭の中にフラッシュバックする。
葉介が走っている姿を。
あんなに、走るのが好きだったのに。
なんで止めたのかがわからない。
そして、あの頃にこんな風に遊園地に来ていたら。
違和感なんて感じなかったのに。
『閉園時間になりましたーー…』
放送が入った。
「はぁっ!?!?」
「うるさい。」
「だって…。」
なんで閉園時間なの!?
ジェットコースターにしか乗ってないのに。
気持ち悪くなって終わりなの!?
あたしは驚きを隠せない顔で放送器具を見つめる。