紫陽花なアイツ

こんな空を見ると、不意に頭の中にフラッシュバックする。

葉介が走っている姿を。

あんなに、走るのが好きだったのに。

なんで止めたのかがわからない。

そして、あの頃にこんな風に遊園地に来ていたら。

違和感なんて感じなかったのに。

『閉園時間になりましたーー…』

放送が入った。

「はぁっ!?!?」

「うるさい。」

「だって…。」

なんで閉園時間なの!?

ジェットコースターにしか乗ってないのに。

気持ち悪くなって終わりなの!?

あたしは驚きを隠せない顔で放送器具を見つめる。




< 55 / 175 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop