紫陽花なアイツ
爽介の隣には、女の子。
あたしより年上に見えるけど、フワフワしてそうな可愛い子。
「…彼女?」
思っていた事が口に出てしまった。
葉介の方を向きたかった。
今、あたしの事久しぶりに名前呼んだよね、ってからかってやりたかった。
無理だった。
爽介の隣のその子から目が離せなくて。
「…夜志乃。」
気付いたら、見えなくなるまで二人の姿を目で追っていた。
あたしは葉介の方に振り向いた。
「…今、あたしの事。久しぶりに…。」
名前呼んだよね。