紫陽花なアイツ
涙がおさまると、葉介のバイクの後ろに乗った。
この大きい背中に、あたしは昔、くっついていたんだ。
マンションに着いて、あたしはぼーっと葉介の背中を見ていた。
「兄貴の隣にいた、女の人。」
振り返ってあたしに言っているようだった。
なんでその話を蒸し返すんだろう。
さっき、少しだけ葉介を優しいと思ったのを前言撤回して、無神経だと置き換えよう。
あたしは何も言わずに、じっと見据えた。
涙はもう出ない気がしていた。
「今度、結婚する。」