紫陽花なアイツ
親友の真生に、下手な嘘はつきたくない。
だから頷いた。
「…巧から聞いた?」
少し予想していた人物を言うと、真生は頷く。
…あの野郎…。
言葉に出てきそうになるのを抑えて、心の中で愚痴った。
「言わなくてごめん。」
「全然気にしてないよ。」
正直言って、真生から葉介の話が出ない限り、あたしは自分からその話をする事は、なかったと思う。
「紫陽花じゃなくてね、藤崎葉介っていうの。」
あたしは言う。