紫陽花なアイツ
夏祭りの太鼓の音が心臓に響く。
女子の友達と行く事になった。
「どこ行く?」
わいわいと女子同士の会話も少し楽しい。
あたしは浴衣は着てこなかった。
動きにくいし、でも、周りの子が着ているのを見ると少しだけ羨ましくなる。
屋台も一通り回って、みんなとぶらついていた。
「夜志乃。」
一瞬、そう呼ばれた気がした。
葉介?
自分で考えてありえないと感じた。
葉介を夏祭りに誘う事はしなかった。
タイミングが掴めなかったし、何より…。
あの日から一言も喋っていない。