紫陽花なアイツ
爽介と並んで歩いたのは久しぶりだった。
そして、ある疑問が頭に浮かぶ。
「彼女は?」
「今日は、夜志乃と話しに来たから。」
柔らかに笑う爽介。
あたしは、その笑顔で充分だった。
ついこの間まで考えていた、重い事は吹き飛ばされていた。
「結婚するんでしょう?」
「葉介から聞いた?」
あたしは頷いた。
気持ちを割り切ったら、楽になった。
まだ、寂しい思いもあるけれど、大丈夫。
「おめでとう。」
笑顔で言えた。
…きっと葉介のおかげ。