紫陽花なアイツ
「おはよう。」
あたしもにっこりと返した。
その後、不覚にも溜め息が出た。
「何?なんかあった?」
挨拶をした後、自分の顔を見られて溜め息をつかれたら、それはさぞ困惑するだろう。
あたしだって、本当は困惑してるのに。
爽介が結婚するのを知って、なんで葉介はあたしと爽介が会うのを避けたのか。
なんで、あの朝、あたしの家に来てくれたのか。
分からないことだらけ。
それでも、葉介は簡単に近づいた距離を、簡単に離していく。
あたしは動けない。
動かないまま。