紫陽花なアイツ

「男子校の目の前で、女子二人でいるなんて危ねーよ。」

巧が言う。

「わかったって。ねぇ、葉介は?」

あたしは聞いた。

その言葉に、巧は周りを見渡す。

一緒じゃなかったんだ。

内心がっかりして、あたしは玄関の方を見た。

あそこから、出てくるかな。

そんな淡い期待を胸に、じっと見ていた。

あ。

茶髪にピアス。

だるそうに歩く姿。

「葉介。」

遠目でもわかる。

あの姿。





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