紫陽花なアイツ
待っていたその姿に、あたしは駆け寄ろうとした。
「来ちゃった!!」
隣で、いや数メートル離れた所で女子の声がする。
あたしはその子を見る。
やっぱりとは思ったけれどその子は、あの日、浴衣を着ていた子だった。
ーー彼女。
頭の中を横切るその言葉に、体の力が抜ける気がした。
「夜志乃?」
近くに来た葉介があたしの名前を呼ぶ。
やめて。
あたしは、その言葉を無視して真生と巧の方に行く。
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