紫陽花なアイツ
藤崎家で夕飯を食べるのは、昔は日課だった。
今ではもう二週間に一回くらいだけど、誘われる。
葉介のお母さんは、笑顔で「いらっしゃい」と言ってくれた。
あたしはサンダルを脱いで、リビングに向かう。
葉介だけが、テレビを見ていた。
お父さんは単身赴任中らしい。
さっきまでは、葉介のことを考えるのすら嫌だったのに。
いや、これは葉介のお母さんの誘いだから。
と言い訳をしてみて、あたしは座る。