苺のアップリケ
女にはないのかな?こういう衝動。

「ひよ。怒ってる?」

つないだ右手を持ち上げて指でひよの耳の脇に垂れる髪を撫でた。

ひよりが怒っても扱いにくいだけで、怖くもなんともない。

そう思ってることは内緒。

ひよが拗ねる。

通勤のビジネスマンらしい男にすれ違いざま舌打ちされて、通行の邪魔になっていることに気づいた。

黙ったままのひよりの手をひいて、大通りから一歩入った路地に連れていく。

朝ということもあって、路地は明るく照らされていてほっとした。
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