苺のアップリケ
「僕、お腹が痛いんだよね。どっかでお茶とか飲んだら治るんじゃないかな? …ひよ、まさか置いてかないよね?」

弾かれるように上げた顔はほっとしたように見えた。

僕は笑顔で頷いてつないだ手を放す。

「ほら。ひよ、山内にメールしな。風邪ひいて休みって篠原に言ってもらえ。」

僕も鞄から携帯を取り出して笹鳴に電話をかけた。

ビルの壁に向かって呼び出しの曲を聴いていると、いいところで笹鳴がでた。

「はよー。どーした? 今日は来ないのか?」

休みじゃなく、来ないのかと聞くところが笹鳴らしい。

僕をよくわかってる。
< 15 / 68 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop