苺のアップリケ
ひよは隣でメール中。

携帯を両手で握って一生懸命ボタンを押す姿が可愛くて困る。

ぷくぷくしたほっぺたが柔らかそうで触れたくなった。

大通りに目をやると、駅へ向かう大人達が見える。

みんな無表情、もしくはピリピリした表情をして同じ方向に歩いていく。

いつか自分もあの列に入らなくてはいけないんだと思いつつ、今はここで眺めていられる自分に安堵した。

「…大丈夫かな?」

首をかしげて画面を見つめるひよりの脇に立って手を出した。

「行こう。」
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