苺のアップリケ
不思議そうに見上げるおでこに触れて、誘惑に逆らえずにぷくぷくのほっぺたをつまんだ。

「…今日は、僕に付き合ってよ。」

安心させたくて笑ってみせた。

上目遣いでこちらを窺う目に自信たっぷりを装うと、ひよりは少し赤くなって俯く。

最近多くなったぎこちない反応に戸惑いつつ、やっぱり強引に「ね?」と返事を求める僕は、相当に子供だ。

「…うん。」

目をそらして頷くから、本当は嫌なんじゃないかと不安になるけど、そこは目を瞑って僕達はバスを待つ。
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