苺のアップリケ
「…こよのせいだ。」

「…うん。」

時々ぐずぐず鼻をすすりながら、ひよりは泣く。

「こよが…しっかりしないから。」

「…うん。」

柵の向こうでウサギが目を丸くして僕達を見ている。

「…こよが…急に…。」

「…ん?」

不謹慎な僕は、抱き締めたひよりから漂う苺の甘い香りにクラクラする。

ひよりは柔らかくて気持ち良い。

「なぁに?」

「…なんでもない。」

ギュッとしがみつくから、ひよのおだんごの髪が僕の頬に当たってくすぐったかった。
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