苺のアップリケ
「落書きだよっ。二人で書いたの覚えてる? 見つかって怒られたでしょ?」

楽しそうにクスクス笑うから、僕はまたにやけてしまう。

「あぁ。そんなこと、あったっけ?」

曖昧な記憶を必死で呼び出して、それでも見つからない思い出に首をかしげた。

「こよみって、本当に記憶力ないよね。」

拗ねた口調も可愛くて、ニヤニヤしてたら怒られた。
「肝心なことはダメなんだから。」

暗に全否定されて、ガクリとなった。
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