苺のアップリケ
駆け上がった勢いでドアを叩く。

ドンっと一度叩いただけで僕の体は前のめりに倒れ込んだ。

「なっ。」

苺のチョコみたいな甘い匂いの漂う部屋の中から、ひよりの驚いた声が聞こえた。

「いてててて。」

強く打った膝を擦りながら顔をあげると、パジャマのズボンを履いてブラジャー姿で制服に腕を通すひよりと目があった。

「なにしてんのよぉおぉぉっ。」

勢いよく飛んできた蹴りを慌ててかわしてドアを閉めた。

…ピンクだった。

…胸、でかかった。

………。

「遅刻するって。下で待つな。……ごめん。」
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