苺のアップリケ

「ひよ、り?」
「こよみが好き…」

「えっ!?」

「…なんだって。美奈津ちゃん。」

止まった心臓が凍りついた。

「紹介してって、頼まれたの。応援してって、頼まれたの。」

ひよが早口でまくし立てるのを、ぼんやりと眺めた。

耳に音は届くのに、意味がわからない。

古い無声映画みたいだ。



音に意味がない世界でも、

ひよりは可愛かった。




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