苺のアップリケ

「あのね、今日、一緒に帰らない?」

たったそれだけのことを真っ赤になって告げる美奈津は、可愛いっていえると思う。

オレがひよりを好きじゃなければ、間違いなく愛しく感じてた。

「いいよ。」

「ほんとっ?」

こんなことぐらいで、美奈津はますます幸せそうになる。

「ああ。」

「ありがと。」

礼まで言って髪をなぞる指先が、微かに震えてるのに気づいて目をそらした。


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