苺のアップリケ
何度も振り返りながら、自分の教室に戻っていく美奈津を見送って、ぼんやり廊下を眺めた。
「美奈津ちゃん、可愛いねぇ。」
いつの間にか隣に立つ笹鳴がいつもの軽い調子で肩を組んでくる。
「うざいって。」
肩にまわる手を力なくほどいて、小さくため息をついた。
「なんだよ、いいじゃん。」
軽い口調に苛々する。
「可愛いから付き合うことにしたんだろ?」
「…そうだよ。」
「オレもあんな彼女ほっすぃ〜っ。」
おどける笹鳴に「やるよ。」と言いたくなった。
…オレって最低。