苺のアップリケ
笹鳴のバカを無言で蹴飛ばして、自分の席に戻る。
「いでっ、蹴るなって。」
途中、チラチラと好奇の視線に晒されるのはいつものこと。
何が気になるのか、クラスの女の何人かは、動くオレに視線をよこす。
それに気づいたのは最近で、オレの隣に並ぶのがひよりじゃなくなってからのこと。
追いかけてくる視線は、いつも背後や横からで、オレの視界に入った途端、彼女達は目をそらす。
鬱陶しく感じても、彼女達に見るなとも言えないオレは耐えるしかない。
だいたい、目が合うわけではないから、彼女達が見ているという証拠もない。