苺のアップリケ
答えなんてわかってるのに、進みだしてしまったのは誰の精でもなくオレのせい。
わかりきったことをジタバタ悩むのは、やっぱり諦めきれないひよりへの想いのせい。
「サイテー。」
「ん?なんか言った?」
ふと漏れた独り言に前の席に座る吉田が振り返った。
「いや、何も。」
「そ?」
とぼけたオレを気に止めもせず向き直る背中が羨ましくなった。
本当に、他のヤツってどうしてるんだろう。
悩みなんてなさそうに見えるこいつにも、悩みはあるんだろうか?