苺のアップリケ

それでなくてもオレは美奈津に別れを切り出すつもりなのに。

このタイミングでこんな話をする美奈都に苛々が増す。

「こよみ君は、優しいよ。」

隣で噛みしめる様に呟く美奈津を無視した。
これ以上何か言われたら、キレそうだった。

罪悪感を煽られるのは好きじゃない。
…わかってはいる。
全部オレが悪いんだって。

美奈津は、悪くない。

「あのね、こよみ君。ずっと聞きたかったこと聞いてもいい?」

すっと伸びてきた手がオレの小指をつかんだ。

優しく触れた感触に、胸が痛んだ。

「どうしてOKしてくれたの?」


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