レンズ越しの君へ
何とか重い体を起こして、さっき脱がされたドレスを着てからコートを羽織った。


「どこ行くんだよ?」


廉のいない所だよ……


「お前、まだわかんねぇの?」


わかってないのは廉だよ……


「ユイッ!!」


あたしは、廉をキッと睨み付けて泣き叫んだ。


「嫌いっ!!廉なんかっ……!大嫌いっ……!!」


そのまま逃げるように、マンションを飛び出した。


行く宛てなんて無いのに、ただ夢中で走った。


廉から逃れたくて…。


彼とは、もう一緒に過ごしたくなくて…。


だけど…


あたしを追い掛けて来ない廉が、無性に憎くなった。


『俺からは逃れられない』とか言っていたくせに、結局は追い掛けても来ない。


身勝手で最低な男…。


危険だとわかっていたのに廉に落ちた自分(アタシ)も、充分最低だ。


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