レンズ越しの君へ
廉にどんな顔をすればいいのかわからなくて、しばらく湯舟に浸かっていた。


どうしよう……


廉がまた不機嫌になる……


あたしはため息混じりにバスルームを後にして、出来るだけの笑顔を作ってから寝室に行った。


「廉……」


振り向いた廉に笑顔を向け、続けて尋ねた。


「何してるの……?」


「明日写真展があるから、その内容の確認中……」


廉はそれだけ言うと、また書類に目を通し始めた。


行きたいって言ったら、連れて行ってくれるのかな……?


「……何だよ?」


「あのね……その写真展って、廉だけが出展するの?」


「いや……。コンテスト形式だから何人も出展してるし、授賞式もある」


顔を上げて答えてくれた廉を見ながら、思い切って口を開いた。


「ねぇ、あたしも行きたい!」


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