レンズ越しの君へ
この仕事をしていたら色んな人と出会うし、お客の中には同業者も多い。


同業者ともなれば、それなりにカッコイイ人もいる。


だけど…


廉は、そういうカッコ良さじゃない。


彼がそこにいるだけで、周りの空気が変わる。


あたしとたった三歳しか違わないのに、大人の雰囲気って言うか、色っぽさがあるんだ。


廉に見つめられると、その瞳に吸い込まれてしまいそうになる。


そして…


あたしが気付いた事…。


それは、廉は危険だって事。


あたしを口説いたりはしないけど、思わせ振りな態度を取ったりする。


廉は何度も店に来てくれているけど、あたしが知っている事は名前と年齢と職業だけ。


それ以外は、上手くはぐらかされてしまっていた。


だから素性が知れない分、廉には近付き過ぎないようにしていた。


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