レンズ越しの君へ
「廉っ♪」


支度を済ませ、リビングで待つ廉に声を掛けた。


「おせぇよ……」


「ごめんね?」


廉に抱き着いて、顔だけを上げて謝った。


「お前は本当に……」


そこで口を噤んだ彼は、ため息をついてからあたしの手を引いて家を出た。


廉が何を言おうとしたのか気になったけど、足早に歩く彼に付いて行くのが精一杯だった。


「澪」


エレベーターに乗った直後、あたしを呼んだ廉を見上げると…


「可愛いな……」


彼はあたしの瞳を真っ直ぐ見つめて、キスをした。


「……っ!」


ここ、エレベーターの中だよ……


そんな事を考えながらも、廉のキスを受け入れてしまう。


「……んっ!……れ、ん……」


程なくして唇を離して満足そうに微笑んだ彼は、再びあたしの手を引いて駐車場に向かった。


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