レンズ越しの君へ
「あれは仕事用だろ？」


「そうだけど……」


「俺が言ってるのは、プライベート用の番号だよ」


廉はそう言って、あたしの手に無理矢理携帯を置いた。


正直、困惑してしまった。


あたしは、お客にプライベートの番号は教えていない。


前にどこからかお客に番号がバレて、ストーカーをされた事があるから…。


それ以来、あたしはプライベートの情報が漏れないように、神経質になるくらい気を付けていた。


廉には悪いけど、彼だってあたしのお客なんだから例外じゃない。


「ごめんね……。お客様にはプライベートの情報は教えないの」


「教えてくれないと、今ここでキスする」


すると、廉は真剣な表情で言って、あたしの瞳を真っ直ぐ見つめた。


あたしはその瞳から逃れられなくて、そのまま黙り込んでしまった。


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