レンズ越しの君へ
「仕事を辞めさせて下さい」


店長は予想通りと言わんばかりの表情で、ため息をついた。


「お前なぁ……」


「今度こそ、絶対に辞めます!」


呆れている店長に、あたしは強気な口調で言った。


「ユイ、お前が辞めると……」


「店が打撃を受ける!」


眉をしかめている店長の言葉を、このやり取りをする度に彼に投げ掛けられていた台詞で遮った。


「わかってるなら……」


「それでも、今回は絶対に譲れません!」


何度も引き止める店長に負けないように、頑なに首を横に振り続けた。


1時間以上話し合っても、どちらも譲らなかった。


店長の気持ちもわかるし、引き止めてくれるのは嬉しい。


だけど…


あたしは、何よりも廉の事が大切だから…。


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