レンズ越しの君へ
「お前がこの仕事を始めたキッカケって、何だった?」


「家出同然で飛び出して来て、お金に困ったから……」


「やっぱりな……。まぁそんな所だとは思ってたけど……」


店長の意味深な言葉に、思わず小首を傾げてしまう。


ホールのソファーに座った店長は、フッと笑ってから口を開いた。


「俺がここに来た時、お前はまだヘルプだったよな?」


「あたしが入ってすぐに、前の店長が異動したから……」


小さく頷いて、そう答えた。


「アヤが客と喧嘩したのが原因だったんだろ?」


「あっ、でもっ……!それは、アヤがあたしを庇ってくれたから……」


「知ってるよ」


店長は苦笑すると、タバコに火を点けた。


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